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ビバ毒書ライフ!
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現在では穏やかで時の止まったかのような素朴な町であるが、

その実、棚倉は足を洗ったヤクザのような、歴戦の過去を背負っている。

現代においてもそうだが、古代からこの地方は陸奥と常陸の境界であった。

結果、その地理的条件ゆえに度々戦が行われた。

棚倉城は防衛拠点として奥州の、時は常陸の国の守りの先鋒となった。

今も残る城の石垣は、久慈川の碧色の川面に映えて静かな佇まいを見せているが、

鬱蒼と茂る山の木々と、久慈川という天然の水掘りを纏っていて、

穏やかながらも外敵の侵入には容赦しないという威厳が感じられる。

実際、ひまなときに散歩してみて分かるが、山の中に入るのは容易なことではない。

山が川に面しているため川の側、つまり西側からは登ることが出来ない。

すると南か東ということになるのだが、山は南北に長く、

城を目の前にしながら南に回るもの間抜けに過ぎる。

すると最終的に無難なのは東側、となる。

当然、防衛側は東の防備を厚くしたことと思われる。

しかし、敵が来る方向を特定することが出来るわけだから、

防衛側にとってこれほど守りやすい城はない。

そんな過去を杉林に埋もれさせ、棚倉の町はある。

 

そして、こんなエピソードがある。

戦国時代に白河と佐竹、つまり陸奥勢と常陸勢が争っていた頃のこと。

この棚倉は防衛拠点として、または他領に攻め込む橋頭堡として、両勢力の間で所有が争われた。

時に、棚倉城主は佐竹家の切れ者、渋江内膳。

あの「雪の峠」の主人公とも言える渋江内膳である。

「あれ? それだと漫画の内膳のイメージとちょっとちがくない?」

と思われたあなたは鋭い。

わたしも専門家ではないのでどちらが真実かは分からないが、

兎に角、内膳は秋田移封以前から、武将として、また地方経営者として活躍していたようである。

つまり内膳は、佐竹家の進駐軍として棚倉地方を治めていたわけだが、

白河勢の反撃により政庁のある棚倉赤舘を落とされてしまう。

その時白川家の武将として活躍したのが 斑目(まだらめ)広綱・広基兄弟。

いうまでもなく、拙作のCWシナリオの斑目の兄弟のモデルになった奴らである。

彼らは歴戦の山城である棚倉を落とすなど、豪勇の武将としても名高かったが、

どうにも憎めないキャラクターであったようである。

落城に際して、内膳は脱出できたが、内膳の幼い(まだ赤ちゃん)姫は斑目兄弟の手に落ちた。

しかし、突撃突撃と喚き散らす戦バカも、この可愛い姫の扱いに戸惑ったようで、

なんの見返りも要求することなく、佐竹に姫を送ってよこしたのだった。

普段は厳つい顔した武闘派が、

おろおろしながら泣き喚く赤ちゃんをなだめていたのかと思うと、何とも愛しくなってしまう。

残念なことは、この行為が、主である白河家に内通の疑い有りと見られてしまったことである。

いつの時代も、人の人としての自然な気持ちをそのままに受け留められない人がいる。

斑目さんたちの不器用な優しさは、暗殺という最悪の報いをもって終わる。

他の華々しい武将たちの活躍に埋もれた、小さな小さな美談を掘り起こして涙するのも

歴史好きの醍醐味である。

 

最後に余談ではあるが、棚倉城は「東の本田忠勝、西の立花宗茂」と称された、

名将 立花宗茂が城主を務めていた時期もあった面白い過去をもつ城でもある。

思いつきで語るならば、北の伊達家に対する徳川家のガーディアンとして、

この境の地に返り咲いたと見ることもできるかもしれない。

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各場所が違うとは思いますが・・・
掲示板が無くなっているのでココに書き込みさせて頂きます。


最近CWを始めたので「種族を超えて」の3部作、今日一気にやり終えました。

何ていうか…感動でした!

こんなに良いシナリオがフリーゲームであるとは…。

続きが非常に気になります…。

もう、作成されないのですか???

qzkqzk @ mail.goo.ne.jp
いたずらでない証として、スパム防止の為、@の前後を離して自分のメアド書いておきます。



P.S.カーネギー、僕も読みました。良いですね!
オオナムチ 2008/12/05(Fri)01:14:30 編集
やべ、全然気がつかなかった<(_ _)>
すいません・・・・
忙しくて&ボケで全然気がつきませんでした。
書き込みと、拙作を遊んでいただきましてありがとうございます。
少しでも反響があると嬉しいです^^
元気の素です。

・・・んで、続編ですが、ん~~~~・・・・・。
PCが壊れて作りかけてたデータや、私的な今までのわたくしの全知的財産(←大げさ)も含めてぶっ飛んだため、心に大きなダメージを負って(←大げさ)今のところ凍結状態です。

でもこういう励ましがあると、作っちゃおうかな~とかやる気が出ます。
でもあまり期待しないで下さい^^;


カーネギー:
おお、これ読んだ人が他にもいたとはっ!
因みにわたしのは、父が経済学部時代に読んでたふる~いやつです。
でも、これ読むと、本当の知恵って、穏やかさとか優しさなんだなって思います。
何だか世の中ギスギスしてますが、自分はなるだけおおらかに生きていきたい思います。
若いころはなんにでも怒っていましたが、30になってみると、も~、なんでもどうでもよくなります。牙が抜けます。
でも、それが一番だと最近思います。

他にもいい本があったら教えて下さい、ではでは^^ノシ
73 2008/12/16(Tue)22:00:01 編集
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外観:石井一久投手に酷似

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